院長コラム
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“他者となって他者を理解する internalization of others”

2015年1月21日
横浜なみきリハビリテーション病院 院長 神経内科
阿部 仁紀

 リハビリテーション病院とは、脳卒中などの脳血管疾患や大腿骨などの骨折・外傷などによって脳や脊髄を損傷した人が、日常生活動作の改善を目的にリハビリを行う専門病院です。
通常は急性期病院から転院してくる患者が多く、在宅復帰を目指し入院いたします。

 昨年11月に院長に就任し、現在、平澤新事務長と共に、他院へ院長就任の挨拶を行っております。院長や教授だけでなく、実際の現場の先生や看護師さんにもお会いして感じるのは、当院に対する期待の大きさです。
お会いした皆さんが当院を非常に立派な、神奈川県でも有数なリハビリ病院と認識されております。当院がなくてはやっていけないとのお言葉があり、逆に当院も各病院が無くてはやっていけない、互恵関係にあることを実感しております。
単なる互恵関係ではなく、“個々の力(independence)を高めながらの相互信頼interdependence”を深めることが大切だと思っております。
そして、“そのindependence”の力を高める方法が、“他者となって他者を理解する”哲学です。人は多様な経験をする(他者となる)ことによってさまざまな視点を身につけ、それまでとは違った自分になります。
他者を自分とし、他者が自分になります(internalization of others)。
他者となったとき、他者の視点で自分が見え(客観視でき)、自分をより深く理解できるようになります。新たな自分になります。
例えば私は、自分が病気になった際、医師としては絶対尋ねないようなことでも、患者として主治医に尋ねました。そして、その主治医から誠意ある対応がありました。
患者となって患者の気持ちが少し理解出来ました。医師の誠意ある対応の重要性も再認識いたしました。
リハビリは24時間すべての行為がリハビリです。自分の職分だけを考えていたら限界があります。介護士は、患者の食事介助やトイレ介助等の際はリハビリセラピストとなります。
言語聴覚士は、発声・発語練習だけでなく、書字練習のときは作業療法士となり、患者を理解・評価する際は医師となります。
全職員が役割の垣根を超える、“他者となって他者を理解する”哲学をもって進んでいくことができればと思います。

 なお、院長として毎週月曜日に職員を対象とした朝の挨拶を行っております。ある日の挨拶を下記に掲載いたします。
参加できなかった職員や院外の皆様の当院の理解の一助となれば幸いです。

 本日は『他者となって他者を理解する』具体的な話をします。パーキンソン病のふるえは不思議なふるえで、文字を書くなど、何かをしようとするときに止まるふるえです。
薬が効いているときに出る不随意運動がありますが、この不随意運動も本人は苦痛でないものもあります(当然、苦痛なふるえや不随意運動もあります)。
見かけ上ふるえがあっても、本人が苦痛でないこともあります。その際には、我々が『大変ですね』と思うことは共感ではありません。
ふるえや不随意運動は、我々の理解(意識・無意識な表情・しぐさ)によって苦痛となる場合があるので、そのことをよく理解しましょう。

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