院長コラム
最前線ドクターならではの医療情報をお届けします

新年度のご挨拶

2017年4月1日
横浜なみきリハビリテーション病院 院長 神経内科
阿部 仁紀

 私は2009年4月に福島県から神奈川に来ました。こちらにきて何がよかったといえば、場所は限定されますが、富士山が見えることです。富士山は当たり前のことですが、冬になると冠雪します。昨年は非常に遅かったとのことですが、その分冠雪していない富士山を長く見ることができました。といいますか、冠雪していない富士山が見えました。実際、時々見ていたのですが、見えていませんでした。おそらく、冠雪している富士山が頭の中にイメージとして固定されていたので、冠雪していない富士山を見ても、そのままの姿を受け入れることができなかったのでしょう。別にこのようなことは、他の人にとってはどうでもいいことなのかもしれませんが、私にとっては、非常に貴重な瞬間でした。そして、「富士は日本一の山」とつくづく実感しております。同じ場所から見ていても、見える日もあれば、見えない日もあり、見え方も毎回異なります。他の人からは非常につまらない経験でしょうが、この例をもう少し考えてみると、ある固定的イメージから、真のイメージをとらえる方法・手段として、①実際にそのものを見ることが、必要条件と思われます。②そして繰り返し見ることも大切と思われます。また、③離れてみることも重要と思われます。

 上記の文をもう少し、分かりやすくいいますと、私は車で通勤途中にある場所を通過している際に、とても空気が澄んだ日に限られますが、数秒程、自然に富士山が目にはいります。それほど意識していなかったのですが、なんとなく、違和感がありました。ある日、今年の初冠雪は遅かったとの報道があり、今まで目にしていた富士山は雪を冠ぶっていない富士山と気づきました。ネットで、「富士山 初冠雪」と調べますと、「富士山の初冠雪 60年ぶりの最晩記録(2016年10月26日)」とのことでした。おそらく、昨年はいままで以上に、無意識に富士山が目に入る機会が多く、そのような状況で、初冠雪という言葉が、違和感をすっきりさせたと思われます。おそらく違和感がなければ、初冠雪という言葉もスルーしていたかもしれません。上記の文章はある視点からみる、富士山の時間的な多様性をしめしており、いろいろな場所からみえる空間的な多様性を示しているのではありません。ちなみに冠雪という言葉から、白い帽子をかぶった富士山をイメージされるかもしれませんが、私がみえるのは、山全体が白っぽい(雪=白かもしれませんが、白ではありません)富士山です。

 医師は患者さんの内臓を含めた患者自身の内部環境をみる力(static point of view)、看護師さんは患者さんとそのご家族を含めた外部環境をみる力(social point of view)、そしてセラピストのかたは患者さんの外部環境に対する働きをみる力(dynamic point of view)が、より強くあるように感じます。私自身も、初冠雪という言葉のように、看護師さんや、セラピストのかたの言葉に気づかされることが多々あります。ある見方(くせ、習慣)は、自分では気づかないものです。また、自分をみる力は、自分をみられるものとして対象化(客観化、客観視)し、さらにそれを言語化(あるいは文章化)しようとする努力によって強まると思われます。今月からは新入職員のかたがはいってきます。教わっていた人が、教える立場になると視点が変わります。教えるという立場になって、気づく点が多々あると思われます。みる・みられるの関係性を、教え・教えられるの関係性に置き換えるのも一法と思われます。

 最近の新人のかたを考えてみますと、みる力(主観)、みられる力(客観)とともに、SNS世代といいましょうか、みせる力(或は、みさせる力)が強いと思われます。この3つは相互作用があると思われます。新戦力の加入で、我々はみせる力を新人のかたから学ぶことによって、当院のみせる力がさらに強まると思われます。そして、結果的には、みる力、みられる力、そして病院の総合力がupすると思われます。今年度も何卒宜しくお願い申し上げます。

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