「日本リハビリテーション医学会」参加報告①(学会編)

言語聴覚士 藤木加菜

第53回日本リハビリテーション医学会学術集会が平成28年6月9日(木)~11日(土)の3日間、国立京都国際会館とグランドプリンスホテル京都にて開催されました。

…本学術集会のメインテーマを、「軌轍Kitetsuと融和Yuwa」にいたしました。先人の「軌轍」すなわち轍(わだち)から基本的な知識と技能を学び、各臨床医学分野との協調、他職種間の連携による融和を図ることで、この学問分野が担う広い領域の整理とincubationを行い、さらなる飛躍ができるようにと願いを込めました(久保俊一会長挨拶;本学会学術集会抄録集S6)。

私たちリハビリテーション科からは、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)の4名が当院の演題の共同演者として参加しました。また、今回は平澤事務長、中村看護部長も参加されました。
プログラム内容としては、3日間を通し14の特別講演、44のシンポジウム・パネルディスカッション、教育講演86講演、演題発表1825題、加えて、共催セミナー(ランチョン、モーニング、イブニング)37セミナー、ハンズオン・デモンストレーション・企画セミナー12セミナーなど充実した内容となっていました。
阿部院長は今回で3年連続の発表であり、「学会の場で発表し、学び続ける姿勢を大切にしたい。また、医師のみでなくコメディカルにも積極的に参加してほしい。」とおっしゃっていました。当院からの口演のタイトルは、『”咀嚼のすくみ”に”リハビリと薬物のsynchronized therapy”が有効であったParkinson症候群の1例』でした。阿部院長の発表のなかで、「offに関連したすくみを呈した場合、薬物でonを作り、on時間に合わせてリハビリを行いonの質を高めること(”リハビリと薬物のsynchronized therapy”)ですくみが改善する場合がある」とありました。Parkinson症候群の治療では薬物療法とリハビリのコラボレーションが重要であると提起する内容で、とてもわかりやすい発表でした。発表された阿部院長、お疲れ様でした。

「日本リハビリテーション医学会」参加報告②(写真と文による学会の雰囲気編)

言語聴覚士 藤木加菜

展示会場では、150もの企業・団体・大学が出展し、最先端機器を体験する中でリハビリテーションの広がりと未来を体感することができました。特に印象的だったのが、安川電機から出展していた「足首アシスト装置」の体験でした。この装置では、足圧センサの情報を基に、歩行に求められる足首の底屈・背屈の動きをモータで補助することで、歩行練習を安全かつ長時間、反復して行うことができるとのことです。腹部には軽量なコントローラ、足部には軽量なモータ付装具を装着し、コントローラによるモータ制御により、軽い足の振り出しが可能になるそうです。実際に体験した阿部院長によると、「パーキンソン病のすくみ足にも効果的かもしれないですね。」とのことでした。


展示会場で様々な体験をした後はお茶を頂きながら感想会を行いました。このように場内はたくさんの人々で賑わっておりました。

学会後、参加メンバーで集合写真を撮らせて頂きました。

「日本リハビリテーション医学会」参加報告③(慰労会編)

言語聴覚士 藤木加菜

学会も無事終わり、夜には慰労会が行われました。
烏丸御池駅の近くにある、雰囲気の良い和食屋さんにて。
学会の感想や日頃の業務について、そして医療現場の今後についてなど
他職種の角度から見た目線で聞くことができ、勉強になりました。
食事はどれも京都らしい上品な味で、京豆腐の水炊き、雑炊、鱧、地酒など。本当においしかったです。

第3回パーキンソン病とリハビリテーション研究会

理学療法士の渡辺です。611日に上記の研究会に参加させていただきました。約70名の医師やセラピストがディスカッションすることが出来、有意義な時間を過ごすことができました。

 一般演題は3演題あり、当院からは言語聴覚士の藤木さんが症例報告を行いました。堂々と先生方の前で発表する姿に同期として感激し、自分自身のモチベーションにも繋がりました。その後も済生会神奈川病院の川上先生、登戸内科・脳神経クリニックの三上先生が発表され、医師とセラピストの各々の視点から論議がなされました。

 特別講演では、「姿勢異常のリハビリテーション」について順天堂大学医学部付属順天堂医院の長岡正範先生からご講演頂きました。姿勢異常とはパーキンソン病患者の主症状であり、一般的に首下がり・腰曲がり・前傾姿勢などが挙げられますが、今回は首下がりの研究とリハビリテーションとの連携についてお聞きすることが出来ました。

首下がりは、①頸部屈筋の過緊張(ジストニア)と②頚部伸筋の筋力低下によって生じていることが仮説として挙げられていました。しかし長岡先生が行った表面筋電図での研究では、頚部屈筋(胸鎖乳突筋など)の筋活動はみられず、頚部伸筋(肩甲挙筋、僧帽筋など)の筋活動が著明に現れていました。つまり頚部を下げる筋活動はないが、代償的に頚部(頭部)を持ち上げる筋が活動しているため相反的な関係性が強く、首下がりについてはジストニアの関与は考えにくいという結果でした。首下がりが改善した例は、リハビリテーションにおいて姿勢に対する介入を行っており、メカニカルな要素だけでなく対象者の全身を評価することの重要さを再確認しました。座長の阿部先生をはじめ、多くの医師とセラピストがこの講演についてディスカッションし、職種の壁を越えて意見交換することができました。

 

その後は阿部先生と参加したセラピスト9名で今回の総評と来年度の研究会に向けて、反省会を行いました。また有意義な意見交換の場になるよう、精進したいと思いました。阿部先生ごちそうさまでした。そして藤木さん発表お疲れ様でした。

 

 言語聴覚士の藤木です。今回、「リハビリと薬物の併用によって嚥下障害が改善した進行性核上性麻痺の一例」と題して症例報告をさせて頂きました。本例は、口唇閉鎖、咀嚼、食塊移送に障害を認めました。当初は食事に1時間もかかり、1日2食しか食べられず、閉口障害のため流涎や食べこぼしも非常に多い状態でした。VFによって、嚥下障害の原因が “off時の咀嚼と舌のすくみ”と判明しました。服薬時間を食前に変更したことで、off時の咀嚼と舌のすくみに改善がみられました。それが契機となり、段階的経口摂取訓練が進み、最終的に食形態がゼリー食から軟飯、軟菜一口大に改善しました。食事時間は30分に短縮し、1日3食食べられるようになりました。閉口障害も改善し、結果的に流涎・食べこぼし軽減の要因となりました。頚部筋群の筋緊張亢進、右肩関節の可動域制限や疼痛を認めたことも、動作を含む食事時間の延長の原因として考えられました。本例は、嚥下障害に対し、薬物調整とリハビリの併用が非常に有効であったと思われます。

 

第39回日本高次脳機能障害学会学術総会

新年明けましておめでとうございます。

年末年始は良い天気が続き、清々しい気持ちで新年を迎えることができましたね。

今日は先月の12月10日、11日の2日間、ベルサール渋谷ファーストにて開催された第39回日本高次脳機能障害学会に参加させて頂きましたのでご報告したいと思います。

(当日はクリスマス前ということで会場にはツリーが飾られていました)

本学会のメインテーマは『前頭葉』でした。

前頭葉については高次脳機能の中でも複雑であり、解明しにくい分野であるとされており、とても興味深い分野でもあります。

今日においては様々な研究によって少しずつ謎が解明されてきています。

前頭葉の機能としては言語機能の他、人間の情動、ワーキングメモリや遂行機能なども司っていると考えられています。

そのため、前頭葉の損傷によって喜怒哀楽のコントロールが困難になることや無関心・意欲の低下、また計画を立てる・物事を順序立てて行動するといったことも支障をきたすとされています。

その結果、日常生活を安全に過ごすことや周囲の人たちと良好な人間関係を築くうえでの障害へと繋がってしまいます。

本学会においても前頭葉の機能・働き、前頭葉機能障害のリハビリテーション、前頭葉と言語機能など、前頭葉に関する教育講演やシンポジウムが行われました。

前頭葉に対する新たな知識や考え方を得ることができたので今後のリハビリテーションに活かしたいと思います。

また、失語症、注意障害、記憶障害、失行、失認などの高次脳機能障害に対する口演や認知症に対する講演も多くみられました。

本学会を通して得たものは他のスタッフとも共有していきたいと思います!

 

「日本リハビリテーション医学会」参加報告③(慰労会編)

理学療法士 青島亮二

学会も無事終わり、その後、慰労会が行われました。

新潟でも有名な和食懐石のお店にて。雰囲気の良い個室での食事会で、学会発表の内容や日頃の業務について、他職種の方々と話し合い、有意義な時間を過ごすことができました。美味しい地酒に、地魚…阿部院長、本当にごちそうさまです。