“interdependent medicineの3本の矢”

2014年11月1日
横浜なみきリハビリテーション病院 院長 神経内科
阿部 仁紀

 この度、院長を拝命致しました阿部です。香中前院長の精神を継承・発展すべく、精一杯努力してゆく所存です。まず、私の考えを分かり易く、少しインパクトのある言葉でまとめますと、“相互依存医療(interdependent medicine)” “お互いに信頼し、助け合う医療”を進めることにあります。その具体的な内容をまとめますと、

“interdependent medicineの3本の矢”

  1. 1.院内の“お互いの助け合いの医療interdependent medicine”
    (院内の人々の連携)
  2. 2.当院と他院との“お互いの助け合いの医療interdependent medicine”
    [病院間の連携(病病連携)・病院と診療所の連携(病診連携)]
  3. 3.当院と近隣のコミュニティとの“お互いの助け合いの医療interdependent medicine”
    (近隣の人々と当院の対話を通して、新たなコミュニティを創造する)

となります。

 当院の概要を説明しながら、“interdependent medicineの3本の矢”を説明いたします。

 当院は、入院される患者さまに対してはその疾患や症状に応じて、3つの異なった機能を持った病棟で対応しております。それぞれを、「回復期リハビリテーション病棟」(96床)、「障害者等一般病棟」(80床)と「医療療養病棟」(48床)(計224床)と呼びます。

 「回復期リハビリテーション病棟」は、当院の中核をなす病棟で、他病院との緊密な連携を通じて、発症早期の脳卒中や骨折等の患者さまを積極的に受け入れてリハビリを行なっております。リハビリは24時間、一日の生活がすべてリハビリです。

 「障害者等一般病棟」では、比較的重症な脳卒中を発症した患者さまのリハビリや、薬物療法のみでは治療困難なパーキンソン病をもった患者さまに対し、リハビリテーションを組み合わせることで、良好な結果を得ております。また、レスパイト入院を行っており、家族・介護者のための医療を行っております。

 「医療療養病棟」は、医療や療養が継続的に必要な患者さまを対象にした病棟です。当院の入院患者さまは、脳梗塞・脳出血などの病気を持った人々です。

 これら3つの病棟では、一人ひとりの患者さまの症状だけでなく、性格等を医師、看護師、看護助手、セラピスト、ソーシャルワーカー、薬剤師、検査技師、放射線科、総務課、経理課、医事課、栄養士、給食、掃除の職員等すべての人々が理解して、リハビリ(病院生活)を行なっております( “interdependent medicineの第一の矢”)。

 尚、詳細に関しましては、当院医療相談室にお電話頂ければ幸いです。

 また、病院間あるいは病院・診療所間の連携に関しましては、当院は横浜脳卒中・リハ連携研究会、横浜南部脳卒中ネットワーク、ブレインアタックネットワーク(横須賀市の各々の病院が主)、神奈川脳卒中地域連携広域シームレス医療研究会に参加しております。症例検討や講演会そしてその後の交歓会などを通して、診療に携わっている人々の顔が見える(face-to-face)研究会です。当院は、病院間の連携を深め、各病院が信頼関係で結ばれ“interdependent medicine”、横浜市を中心に横須賀市や鎌倉市等神奈川県(時に他県)の患者さまの一助となるように、努力しております( “interdependent medicineの第二の矢”)。

 さらに、当院は、外来に来院される患者さまに対しては、内科・整形外科等で対応しているだけでなく、通院でのリハビリをおこなっております。また、患者さまが通院してリハビリやレクリエーションを行う通所リハビリや訪問診療・訪問リハビリ・訪問看護などの在宅医療にも力を入れております。更なる特色として、「横浜市並木コミュニティハウス」が敷地内に併設されており、地域の方々が利用されており、健康教室等を開催しております。今後は、非常に人生経験豊かな諸先輩からの御指導・御鞭撻を頂き、並木地区に住んで良かった或いは住んでみたいと思って頂けるような様々な企画を立案すべく努力する所存です( “interdependent medicineの第三の矢”)。

 当院は、利益優先の個人主義時代に、お互い助け合いの精神“interdependent medicine”に基づいた新たなコミュニティの創造を目指し、日々精進している病院です。

 362名の全職員が一丸となって進んで参ります。何卒宜しくお願い致します。

 尚、このコラムは先月までは「Dr. コラム」でしたが、名称を変更致しました。今後はパーキンソン病だけでなく、当院の柱の1つである、脳卒中のリハビリも記載する予定です。